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[書評] マーケティング戦争 2011/08/26/|

私はマーケティングという分野についての知識は全くありません。これまで、一般的なマーケティング論のようなものは一切勉強したことがなかったのですが、ちょっと面白そうな本があったので手に取ってみました。

マーケティングを戦争に例えて解説している良書、「マーケティング戦争」です。

元々20年以上前に初版が出版され、以降、ずっと読み続けられているようです。このような歴史的良書が改訂されて再出版されていました。私が読んだのはこの改訂版の方です。

規模は小さくても、自分の開発したアプリの売り上げをあげるためにするのもマーケティング。自分が今置かれている立場に例えながら読んだら、なかなか楽しく読むことができました。

マーケティングは戦争である

ドイツの戦争家クラウゼヴィッツの「戦争論」に重ねてマーケティングとは何かを解説してくれます。では、マーケティング戦争にとっての戦場とはどこにあるのでしょうか。

マーケティングの戦場は心の中にある。それはわかりにくく、やっかいな場所だ。

そう、マーケティング戦争の戦場は、人(顧客)の心の中にあるのです。顧客はどんな商品を買いたいのか、また、自分の商品が顧客の頭の中でどんな位置を占めているのか、これを調査しコントロールできなくては、マーケティング戦争には勝てないのです。

例えば、消費者が、ブランド名を一般名刺のように使うようになれば、それは心の中を抑えられていると言えるでしょう。これは、他のブランドのティッシュを指差して、「クリネックス取って」というようなものだと解説されています。

4つの戦い方

マーケティング戦争の戦い方は唯一ではありません。それは、「積極攻撃」「防衛戦」「側面攻撃」「ゲリラ戦」に大別されます。

そして、最も大事なのは、自分の立場によってその戦い方は異なってくるということです。

防衛戦

常にトップをいく企業にとって、大事なのは負けないこと。従って、「防衛戦」が有効です。ただし、市場リーダーとは自ら買って出るものではなく、顧客が選ぶものだ、と釘を刺しています。

積極攻撃

では、ナンバー2企業はどうでしょう。ナンバー1のシェアを少しでも奪えれば、自社のシェアが確実に増えます。そんなときは「積極攻撃」をかけるべきでしょう。ただし、積極攻撃をかける際には、むやみやたらに攻撃をするのではなく、できれば商品をひとつに絞った方がよいとしています。

軍事の例を見てみても、積極攻撃はたいていごく狭い前線で行われていたようです。絞り込んだ前線で攻撃することにより兵力を集結させ、その場では相手よりも多くの兵力を持てるためです。

マーケティング戦争も同じで、あれもこれもと複数の商品を投入し戦線を広げたままで攻撃をかけると、結局は手に入れた陣地を失ってしまうことがあるのです。

このあたりの解説はとても納得でき、非常に面白かったです。

側面攻撃

次は、積極攻撃に出るより「側面攻撃」に出た方がいい場合。相手が大きすぎて、積極攻撃に出ても到底勝ち目がない場合には「側面攻撃」が有効でしょう。

機関銃を据えて待ち受ける敵の目の前に空挺部隊を降下させてはいけない。同じく、しっかり根付いている商品に正面から側面攻撃商品をぶつけるものではない。

側面攻撃商品とはいったい何でしょうか。まだ市場の存在しない新商品は、ひとつの側面攻撃商品と言えるでしょう。それ以外には、低価格/高価格による側面攻撃、小型化による側面攻撃、流通での側面攻撃など様々です。

最近、ビックカメラに処方箋薬局が入ったというようなニュースを見ましたが、これは流通を利用した一つの側面攻撃と考えてもいいのではないでしょうか。
参照:ビックカメラに調剤薬対応のドラッグストア 2011.7.26 – MSN産経ニュース

ゲリラ戦

最後に、たとえ規模が小さくても、その分野では誰にも負けないというような市場を確保するのが「ゲリラ戦」です。戦いのために導入できる資金や人がそれほど多くない場合、ゲリラ戦が有効でしょう。

では、ゲリラ戦でターゲットとする市場のサイズとはどのくらいのものなのでしょうか?ここで大事なのは、

自らリーダーになれる程度の小さなセグメントを選ぶことだ。

としています。資金や人員がそれほど十分ではないとき、手を広げすぎるのは危険ですからね。

過去のマーケティング戦争

前半では、マーケティング戦争の原則が解説されていますが、後半では、その原則に則っていて成功した、また、反していて失敗した例が挙げられています。

内容も、コーラ戦争、ビール戦争、ハンバーガー戦争、コンピュータ戦争と、身近なものばかりです。

これに加えて、前半のマーケティング戦争の原則を解説する際には、自動車戦争が例として多く使われています。

まとめ

私はマーケティング屋ではありません。モノ作りをする一人のエンジニアです。それでも非常に楽しく読めました。

今はiOSアプリの開発をしているため、やはり自分が作ったアプリを多くの人に使ってもらいたいと思うのは当たり前。読みながら、自分の立場に当てはめてあれこれと考えを巡らせていました。参考になる内容も多くとても充実していました。

開発本もいいですが、たまにはちょっと違う分野の本を読むことも大事だと思っています。エンジニアにとって発想力はとても重要。色々な分野を知ることで、発想力も磨けるのではないでしょうか。